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9月の巻頭エッセイ

『 寺子屋山頭火 』

町田康

寺子屋山頭火

句を生み出すために苦を求めた山頭火。大正八年、熊本から単身上京したときにはセメントを巨大な(ふるい)でふるう、力仕事だった。しかし、山頭火は真逆の仕事に見える図書館で働くことになった。ところが、その仕事も長く続かず……

町田康

第八回 不治の宿痾

人間はなにを望んで生きているか、と言うと話がでかすぎて自分のような、まるでチクワブみたいなテキトー人間にはよくわからないが、しかしまあ極論を言えば、人間も動物である以上、生きること、つまり死なないこと、を望んでいるのはほぼ間違いないだろう。

つまり生存、生き延びること、これが至上命題であるということである。

ただここで問題となってくるのは、どれほどの時間を生き延びたいのか、ということで、例えば、敵がバンバン撃ってくる戦場に居て、いまこの瞬間、撃たれて死ぬるかも知れない、なんて状態であれば、この瞬間、弾に当たらない、つまり長くても一時間、とかそれくらいを生き延びたい、ということになる。

ところが平和に暮らしていると、これがうんと延びて三十年後の暮らし向きの心配をして、年金や保険を掛けたりするようになる。

まあしかし、一寸先は闇、と言い、また老少不定(ろうしょうふじょう)、と言うように先のことはどうなるかわからない。ここで人間は二種類に分かれる。

わからないからことをあれこれ考えても仕方がないから今を楽しく生きよう、と考える人と、わからないからこそこれに備えておこう、と考える人である。

このふたつを比べてどちらがよいか、ということはしかし一概には言えない。

なぜなら人間はみなそれぞれ違った肉体を持ち、違った環境に育ち、違った条件下で生きているからで、

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