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7月の巻頭エッセイ

『 Dr.よねやまの芸脳生活 芸術家の生き様を医学で考える 』

米山公啓

Dr.よねやまの芸脳生活

芸術家の生き様を医学で考える

米山公啓

第一回 島村抱月とスペイン風邪 ①

挿画 米山公啓

遭遇に向かって

人は死ぬ。そして、死には原因がある。医学はその原因を突き止め、それを予防に使ってきた。それは科学的視点で見つけ出され、発症のリスクと定義され、いかにリスクを抑えるかが、病気の予防ということになる。

喫煙者には肺がんが多く、塩分の取り過ぎは胃がんのリスクとなる。しかし、医学はそれ以上、踏み込むことはない。

なぜその人が喫煙をしなければいけなかったのか、その人の生き方と病気のつながりまでは考えない。なぜ塩辛いものを好んだのか、生まれた地域の問題なのか、親の食事の影響なのか、そこまで調べることはない。

なぜならそういった因子は、科学というより、文学的あるいは情緒的な問題となって、曖昧な部分が多くなってしまうからだ。

しかし、著名人の死となると、私たちは医学や科学的な見方だけでなく、その人の生き方に興味を持つのではないだろうか。なぜ、そんなに若い年齢で死んでしまったのか、とか。つまり、著名人や芸術家の生き方に興味を持てば、死に至った本当の理由を知りたくなる。それがその人の人生全体を知り、作品の理解に役立つからであろう。

冷酷な言い方をすれば、死の原因としての病気は、その人の生き方の結果である。アメリカの人気テレビドラマ、「ER」の原作者で知られるマイケル・クライトンは医学部を卒業して、すぐに作家に転じた。彼は『トラヴェルズ』というエッセイで「我々が病気を引き起こす。我々は自分の身に起きるあらゆる病気に対して直接責任があるのだ」と書いている。

別な見方をすれば、我々は常に選択して生きている。右へ行く、左へ行く、それを食べる、食べない、ある人に会う、会わない、そういった偶然あるいは必然が、その人の生き方に影響して、最終的には病気の発症につながっていくのではないだろうか。

病跡学という精神医学の視点で、著名人の解析はずっと行われてきた。

ここではそういった精神的な要因より、

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