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『 兼好のつれづれ絵草紙 』

三遊亭兼好

兼好のつれづれ絵草紙

三遊亭兼好

其ノ一「んだすな!」

咄家ほど、楽しい商売もない。

笑ってもらえればこんな嬉しいこともないし、ウケなくてもお客様の命に別状はない。売れなくても仕入れの品が余ることもなければ、独りの商売なので仲間割れの心配もない。

都内の寄席で常連相手に喋るのもいいが、知らない土地に行ってのびのびと落語をするのは、なんとも気持ちがいい。以前と違って地方興行に「どさ回り」などと言う悪いイメージはない。落語会の後、世話人を中心に皆でその土地の肴でその土地の酒を酌み交わすのも楽しみの一つだ。

場が盛り上がって「また宜しくお願いします!」「来年もお呼びしますよ」などと言われればこれほど嬉しいものはない。仕事は抜きにしても、旅に出るのは大好きだ。だから、落語でも旅の咄はやっていて楽しい。

「三人旅」という落語がある。本来「東海道中膝栗毛」にヒントを得て作られたのだろう、

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