戦時統制と荷風の不機嫌
宮川匡司
戦時統制と荷風の不機嫌
宮川匡司
日本人には、大勢に流されやすい国民性があるといわれる。突出した行動をしないように、周りの人の動きを見ながら、自分の行動を決める人が多い。この国民性は、非常時に際しては、黙々として事態に処し、耐え忍ぶという行動につながる。
11年前、東北地方を襲った大地震の時、大きなパニックや暴動、略奪も起こさずに、スーパーや駅で整然と並んで待つ人々の冷静さ、忍耐強さを、海外のメディアが驚きをもって報じたことがあった。江戸時代以来培われた儒教の精神が、この国の国民の中に脈々と受け継がれているのではないか。
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