楸邨山脈の巨人たち
北大路翼
楸邨山脈の巨人たち
北大路翼
第二十二回 やさしきすっぽん 和知喜八(三)
体力と気力のバランス
私ごとであるが、主宰していた「屍派」を解散した。直接の理由は根城にしていた場所がなくなってしまったからなのだが、長く続いたゆえの停滞感も理由の一つである。
結成したのが二〇一二年。東日本大震災の翌年である。コマ劇場が東宝ビルに建て替えられる最中でもあった。目の前で起こることすべてがドラマであり詩であると思った。道端も嘔吐物も、死んだ鼠もみなキラキラ輝いているように見えた。
それから十年。句歴五十年、六十年という方が多く存在する俳句の世界にあっては、決して長い時間と呼べないものかも
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