高麗美術館 ──鄭詔文さんのこと
黒川創
高麗美術館
――鄭詔文さんのこと
黒川創
この春、郷里の京都に住まいを移した。大学卒業とともに離郷して、三八年ぶりのことである。
一〇月なかばの週末、よく晴れて、暖かな午前となった。そこで、賀茂川べりを自転車で北に向かってさかのぼり、上賀茂神社近くの高麗美術館まで出かけてみようと思い立つ。
川づたいの風光が、私は気に入っている。高低差のある堰堤を、川水が横一線に白くしぶきを上げて落ちていく。シラサギ、
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