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俳句で味わう、日本の暮らし

黛まどか

俳句で味わう、日本の暮らし

黛まどか

第九回 亥の子

旧暦十月(亥の月)の亥の日に行われる行事で、古代中国の無病息災を願う宮廷儀式「亥子祝いのこいわい」に基づく。日本では平安朝以降、宮中の年中行事として行われていたが、ちょうど米の収穫期とかさなるため、収穫を祝う意味合いが強くなり、江戸時代になり玄猪の祝いとして庶民にも広まった。田の神と同様に、亥の子神も春に来て秋に帰ると考えられていた。

西日本では、子供たちが荒縄で丸石を縛った〝亥の子石〟を作り、家々を回って唱え事をしながらこれらで地面を叩く〝亥の子突き〟を行う。邪霊を鎮め、土地の力を強くし五穀豊穣を祈るまじないとされている。

この日に搗く餅を〝亥の子餅〟と言う。亥の月の亥の日、亥の刻(夜十時頃)に食すと、無病息災でいられるという。猪の多産にあやかって、子孫繁栄や五穀豊穣を祈る。猪またはうりぼうを模った餅は、その年に収穫した大豆・小豆・ささげ・ごま・栗・柿・糖の七種の粉を新米に混ぜて作る。

『源氏物語』では「葵」の巻に亥の子餅が登場するが、京都では今でも十一月になると亥の子餅が売り出される。

臼音は麓の里の亥の子かな

内藤鳴雪

鳴雪は幕末に生まれた伊予の藩士。当時の伊予では亥の子の行事も盛んに行われていたのだろう。

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