町田康の読み解き山頭火
町田康
町田康の
読み解き山頭火
前々月で終了した町田さんの連載エッセイ「寺子屋山頭火」。
今月から始まる続編では一所不在の俳人のころり往生までを作品鑑賞を軸にたどります。
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町田康
第一回「分け入つても分け入つても青い山」
若い頃は酒を飲んで暴れたり、道でヤンキーに殴られたり、人と議論して負けたり、詩を書いたり、映画に出たりと、そりゃあもういろんなことをしていた。ところが年をとって体力も気力もなくなり、自分で言うのもなにだが若い頃は女にも随分とかまわれたが、外見もuglyになったのでそういうこともない。
なにしろ電車に乗っていて若い女がまるで気のあるような目つきでこっちを見てくるので、どういうことだ。と訝りつつ、体調をチェックしていると席を譲られたりする始末。
でなにをしているかというと、なにもしていない。家にいて、ただ生存している。生存するために最低限の買い物をし、
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