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江戸の愛猫

宮川匡司

江戸の愛猫  歌川国芳(二)

宮川匡司


清新なユーモア、統制の世に光

 歌川国芳(1797~1861)の浮世絵には、猫が人に代わって芸をする愉快な作品がある。中でも多いのは、当時人気の歌舞伎役者に猫が成り代わる「猫の役者絵」というべき錦絵だ。


歌川国芳「流行猫のおも入」
(天保1213年=1841〜42年頃、大判錦絵、ギャラリー紅屋蔵)


 「流行猫のおもいれ」は、鈴のついた猫の首輪の中に、着物姿の表情豊かな猫が収まっている。この九匹の猫はいずれも当時の歌舞伎界のスターの似顔である。一番右上が、美貌の女形として知られた初代岩井紫若しじゃく、その左の大きな目でにらむのが、五代目市川海老蔵と、これまでの研究で九人すべての役者の名前が挙がっている。当時の庶民にとって歌舞伎役者は最大のスターだったから、どの猫がどの役者の似顔か、たやすく言い当てることができたろう。見どころは顔の特徴にとどまらない。例えば五代目海老蔵の青の衣装の紋に、大きなエビを配するなど、描きぶりも茶目っ気たっぷりだ。


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