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江戸の愛猫

宮川匡司

江戸の愛猫  歌川国芳(三)

宮川匡司


明るいユーモア、モダンの先駆け

 歌川国芳(1797~1861)の猫好きは、江戸後期の当時から有名だったようだ。明治期の浮世絵研究の古典、飯島虚心著『浮世絵師歌川列伝』は、次のように伝える。国芳は常に猫を五、六匹飼いおき、絵を描く時にも、子猫を一、二匹懐に入れて物語を聞かせていたことがあったという。ある日、最愛の大猫が家を出て、行方知れずになった時には、国芳は驚きうろたえて、人を使って四方八方探させた。それでも見つからず、深く嘆き悲しんだ、という逸話も同書は紹介している。
 そんな国芳が描いた多くの猫の絵の中でも、とりわけ秀逸な戯画が、「そのまゝ地口じぐち 猫飼好みょうかいこう五十三びき」だ。地口とは、語呂合わせのこと。成句やことわざなどを、発音の似通った語句で言い換える言葉遊びを意味する。この画題の元は、「東海道五十三次」。それを、「猫飼好」つまり、猫好きが飼う五十三匹の猫に変えてみました、という趣向だろう。東海道の起点と終点、そして宿場の名を、すべて猫の姿で表してしまう、なんとも破天荒な試みである。


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