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『 アーツ&クラフツ、娘の仕事 メイ・モリスという才能 』

大澤麻衣

アーツ&クラフツ、娘の仕事 メイ・モリスという才能

大澤麻衣

第8回 謎の伴侶

「夕暮れの空は翠色に燃え、黒砂をかぶったアルメリアやシラタマソウの花が、まるでペルシャ絨毯のようになびいている」

ウィリアム・モリスは、初めて訪れたアイスランドをこう描写した。想像力豊かな彼らしい言葉だ。しかし当時アイスランドといえば自然だけで、芸術とは程遠い島国である。アーツ&クラフツの父と呼ばれた彼は、なぜそのような土地へ行ったのだろうか。

© William Morris Gallery, London Borough of Waltham Forest

アイスランドの首都レイキャビク(1930年代)

実はウィリアム・モリスは「サガ」や「エッダ」という文学作品を愛していた。つまりその発祥地であるアイスランドは彼にとって純粋な聖地巡礼の旅であった。それと同時に、まだ30代という若さで妻とロセッティの愛人関係に悩んでいたというウィリアム・モリス。現実逃避のためにアイスランドを選び、神秘的なこの地に何かしら答えを求めたのかもしれない。

ウィリアム・モリスの妻ジェーンをモデルにしたダンテ・ガブリエル・ロセッティによる油絵(1871年)。テムズ川を眺めるケルムスコット・マナーが背景に描かれる。ウィリアム・モリスは、ロセッティと共に借用したケルムスコット・マナーに妻とロセッティ、そして二人娘を残してアイスランドへ旅立った。この絵はその間に描かれた

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