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旅する少年

黒川創

旅する少年

黒川創

7 吹雪がやむとき

私は、一九六一年六月に京都市内で生まれ、地元に育った。一方、母の実家は東京・荻窪で、ここにも幼時から母に連れられ滞在したり、私一人で長期間預けられたりもしたので、中央線沿線の風景などには親しみがあった。だが、一人旅を重ねるにつれ、夜行列車などの起点として上野駅を利用するようになると、この駅の佇まいが、自分の馴染んできた「京都駅」や「東京駅」の雰囲気とは大きく違うことに、驚いた。

「終着駅」という言葉がある。英語だと terminal あるいは terminal stationで、主に都市の主要駅をさしている。機能的には、これらの駅は「始発」駅でもあるのだが、なぜだか、もっぱら「終着ターミナル」と呼ぶ。なぜなのか? それは、ヨーロッパなどのこうした駅では、多くが「櫛形プラットホーム」と呼ばれる構造を持つからではないか。つまり、線路は、文字通り、このホームで「行き止まり」なのである。だから、降り立つときには、 「終着」の心象が強くなる。

上野駅は、日本の都市圏の駅には珍しく、広い櫛形プラットホーム(東北方面に向かう長距離列車の乗り場、一四番線から二〇番線)を持つ駅だった。正面の改札口前に、ドーム状の大きなコンコースを備えているのも、本格的な「終着駅」にふさわしい。東京駅も京都駅も、こうした構造を備えていない。

ふるさとのなまりなつかし

  停車場の人ごみの中に

  そを聞きにゆく

明治末、啄木が上野駅をうたった時代から、ここは、同じ旅愁を漂わせる駅として続いてきた。その面影は、いまもいくばくか残るのではないか。

上野駅近くの薄暗い大衆的な食堂のショーケースに、当時、「餃子定食 四五〇円」などと書かれた蝋細工の

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