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『 俳句で味わう、日本の暮らし 』

黛まどか

俳句で味わう、日本の暮らし

黛まどか

第十三回 上巳

五節句の一つで、もともと古代中国では、陰暦三月最初の巳の日を節日とし、水辺で禊を行った。後に「三日」と定め、「上巳じょうしの節句」となった。(「上巳じょうみ」「元巳げんし」「重三ちょうさん」)。

水辺での禊は、宮中で「曲水の宴」に発展。日本に伝播したのは五世紀末で、顕宗天皇一(四八五)年三月三日。後苑で曲水の宴が行われたことが『日本書紀』に記されている。

天平勝宝二(七五〇)年三月三日、大伴家持は、赴任先の越中の館で曲水の宴を催した。『万葉集』には次の歌を残している。

漢人も筏浮べて遊ぶとふ今日そわが背子花蘰せよ

『万葉集』(巻十九 四一五三)

また、上巳の禊の風習はその後、人形ひとがたで自分の身体を撫でて穢れを移し、これを川や海に流して厄を祓う行事になった。後にこの人形が雛人形へと変わり、室町時代から雛祭となった。さらに女児の成長と幸福を祈り、雛段を設けて、人形や調度品、菱餅、白酒、桃の花などを供える行事へと変化した。

上巳の頃は桃の花の季節なので、「桃の節句」とも呼ばれる。桃は古来邪気を祓う仙木とされていたため、桃の花を飾ったり、桃の花を浮かべた酒を飲んだりして邪気を払う。現在は新暦の三月三日に行うところが多いが、その頃はまだ桃が咲いていないため、旧暦で行うところも少なくない。七十二候の「桃始笑ももはじめてさく」は三月十一日~十五日頃。

飾られて眠らぬ雛となり給ふ

五所平之助

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