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『 旅する少年 』

黒川創

旅する少年

黒川創

3 春とともに終わる

自分の少年時代(半世紀近く前)の旅をこうやって振り返る機会を持つと、改めて驚かされるのは、その頻繁さである。長旅からやっと帰り着いても、次の週末には、すぐにまた別の短い旅に出たりする。

こちらは、すでに、気づけば還暦に近いジジイである。こんな矢継ぎ早の強行軍の旅程を思い浮かべるだけでも、じわじわ疲労が湧いてくる。

──おいおい、本当かよ?

なんで、こんなに旅ばかりしてるんだ?──

と、小学六年生、満一二歳の自分に向かって、こぼしたいような思いに駆られる。

一九七三年の年の瀬、北九州・山陰地方への旅から帰着したあとも、そうだった。

年が明けて、一九七四年の二月一五日には、もう一度、山陰地方への短期間の駆け足の旅に出ている。

前年暮れ、最初の本格的な一人旅は、「北九州・山陰地方」をめぐってくるものとして計画しながら、開始早々、人恋しさにつまずいて、「山陰地方」への旅の部分は尻すぼみで終わった。つまり、このとき実際に歩いた山陰は、山口県下の下関から長門市にかけての一帯だけに限られているのである。

私は、それを無念に思っていた。だから、このとき行けずに終わった島根、鳥取あたりを、急ぎ足であれ、ひと回りしてこよう、と考えたようなのだ。つまり、今回の短い旅は、前年末の旅の挫折に対する〝雪辱の旅〟でもあったと言うべきか。

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