『 愛のレシピ:23歳 』
下平咲
愛のレシピ・・23歳
親友の命の水
私には親友がいる。
母が亡くなった後、母方の祖母に引き取られ東京から長野に引っ越した私は
家から歩いて30分ほどの距離にある小学校へ通うことになった。
転入初日、一番初めに話してくれたのが後に親友となる、かんちゃんだった。
連絡帳すら持ってなかった私を購買まで案内してくれ、
次の日は私と一緒に学校に行くために、
私の家の前で私が出てくるのを鼻を真っ赤にして待っていてくれた。
それから14年間、クラスが別になり疎遠になった時期もあったが、
私の楽しく幸せな記憶にはいつも、彼女が隣にいてくれた。
高校卒業後、かんちゃんは東京の専門学校に、私は大学に進学した。
頻繁に会うことはなかったが、それでも相変わらず仲良しで、
どんなに久しぶりに会おうとも、昨日もずっと一緒にいたかのような
心地の良い空気に包まれた。
私は彼女のことなら大体のことはわかる。
そして彼女もまた、他の誰よりも私のことをよく知っていると思う。
そう思っていたのだが。
ある日、かんちゃんから
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