楸邨山脈の巨人たち
北大路翼
楸邨山脈の巨人たち
北大路翼
第二十一回 やさしきすっぽん 和知喜八(二)
イメージを裏切って
生涯に一句でも残せれば一流と言われるのが俳句の世界。ところが、その代表句のイメージが強ければ強いほど、作者の扱いが偏狭的になることは否めない。芸能界におけるいわゆる一発屋と同じだ。売れた芸以外は評価されなくなり、やがて消えてゆく。俳句は消えてゆくことまではないだろうが、一旦つけられたイメージを払拭するのは容易ではない。
日本で一番有名な句と言えば芭蕉の「ふる池や蛙飛び込む水の音」だろう。上五を当初の「山吹」から「ふる池」
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