気まぐれ編集後記
春陽堂書店Web新小説編集部
気まぐれ編集後記
山頭火の荷物、重し
俳人・種田山頭火の生き方、俳句は共感を呼ぶ。酒を飲んだ飲まないでウズウズ考える、二日酔いを反省する、かと思えば酒を揚棄すると誓う。行きつ戻りつの毎日は自分と重なるという人が多い。
旅の日記『行乞記』では自分を飾らない凄さを感じるし、その言葉は五臓六腑に飛び込んできて容赦がない。
私のこころに、ウッと刺さったのはこの句だ。
捨てきれない荷物のおもさまへうしろ
(昭和五年)
しがらみ、煩悩、後悔にがんじがらめになるのが人生だ。〝徒手空拳〟はとんでもない話、〝本来無一物〟などあり得ない。山頭火の混迷がストレートに伝わる。
我が身と変わらぬではないか。
山頭火の句は我が身を映す鏡だ。
(本誌編集長)
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