たそがれの国の女たち
谷崎由依
たそがれの国の女たち
谷崎由依
たそがれの国の女に出会ったのは、夏の終わりのことだった。
一歳半になるわたしの子は、歩くのもだんだん上手になって、歩きたい、歩きたい、できる自分を試したい。動く手足を動かして、なんでも触って行きたいところへ行きたがって仕方ない。やりたいことはなんでもやる。
しばらく風邪で休んでいて、ひさしぶりの保育園だった。お迎えに行くと、門のところに摑まって動かない。鞄からお茶を出して飲ませようとしたら、お菓子も入っているのを知っていて、取ろうとするのをあげなかったら、ひっくり返って怒った。ズボンが泥だらけになったので、お菓子の袋を持たせて落ち着かせてから園に戻って着替えさせた。食べるのは、お外に出てからね。再度靴を履かせて、お菓子を持たせ、抱きかかえたまま病院へ向かう。
保育園ではしょっちゅう病気をもらうから、病院にもしばしばお世話になる。いつもは朝いちばんで来るのだけれど、
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