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Dr.よねやまの芸脳生活 芸術家の生き様を医学で考える

米山公啓

Dr.よねやまの芸脳生活

芸術家の生き様を医学で考える

米山公啓

第九回 森鷗外と肺結核 ③

晩年に輝いたか

鷗外の墓は東京都三鷹市の禅林寺と故郷の島根県津和野町の永明寺にある。遺書に「私は石見(島根県)出身の森林太郎として死ぬのだから、墓には森林太郎墓とだけ書いてほしい」とあったことから、このようになった。一方、文豪・森鷗外を象徴する銅像は複数あり、2018年には国立国際医療研究センター病院(前身は東京陸軍病院)の正面玄関にも設置された

画/米山公啓

大正時代に入って、鷗外は歴史小説を書き出す。「興津弥五右衛門の遺書」、「阿部一族」、「佐橋甚五郎」などを矢継ぎ早に出していく。

軍医の立場から「今」を書く難しさを痛感していた鷗外は、一気に歴史小説という世界に踏み込み、そこで名作を出していく。

軍医という非常に制約のある中で、どう自分を表現し、作家として書き抜けていくか、思考の末の結果だったのだろう。

本来なら軍医を辞して、作家に転ずるという選択もあったかもしれない。しかし、鷗外はあくまで軍医の肩書きを捨てることなく、作家としての生き方を模索していく。

作家は本来、自由業であるから、表現に制限を受ければ作品に影響が出てしまう。だから常に矛盾を感じていくことになる。歴史小説はそんな状況で、なんとか見つけ出した出口だったのかもしれない。

まったく自由な世界で書くより、制限を受けた中で書くことのほうが難しい。それが鷗外の弱点にもなったが、それこそが作家、鷗外の生き方だったと言えばそれまでである。

私は大学病院を辞めて作家業に専念しようと思ったとき、思いとはうらはらに、

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