登録初月は無料、バックナンバー【作家55人、連載回数400回】も読み放題! 会員登録はこちら  今すぐチェックする

俳句で味わう、日本の暮らし

黛まどか

俳句で味わう、日本の暮らし

黛まどか

第五回 半夏生

夏至から十一日目、太陽が黄経百度を通過する日で、新暦では七月一日~二日頃。中国から渡来した七十二候の〝半夏生はんげしょうず〟が、江戸時代にそのまま雑節の一つとなった。〝半夏〟は、烏柄杓からすびしゃくという薬草の漢名で、半夏生は半夏が生える季節の意。〝半夏半作〟という言葉の通り、この日までに田植を終えないと収穫が半分になってしまうとされ、農事の目安にした。

二毛作の地方では六月に麦を刈り取り、半夏生までに田植をする。半夏生の日に収穫された新麦で団子を作り、神仏に供えたり食したりする習慣が全国にある。讃岐地方では、新小麦で〝半夏はげ団子〟を作る。

私の母は静岡県の在の出身だが、幼い頃の思い出に半夏生の日に各農家で新麦を蒸かした饅頭を山のように作っていた記憶があると言う。当時この地方は麦の収穫の後に田植をし、半夏生の日には農耕具を洗い清めて労い、豊作を祈る集まり〝馬鍬洗まんがらい〟が行われたそうだ。そこで振る舞われたのが小麦饅頭だ。丸い蒸し器いっぱいに蒸しあげられた饅頭には餡が入っていて、子供にとっても特別な日だったという。戦後間もなく小豆が手に入らなかった年は、祖母がにんじんをって塩を入れて甘みを引き出し、餡の代わりにしたそうだ。

登録初月は無料

ここから先をお読みいただくには
会員登録をお願いいたします

登録をすると、創刊号(2020年2月1日号)からのバックナンバーをすべてお読みいただけます。

最新号のコンテンツ

特集「見送りの時──介護の日々から」 (2022年5月1日号)

テル、の一生。

死に臨む認知症患者を小説に描いた永井みみ。介護に身を投じた理由は

特集「見送りの時──介護の日々から」 (2022年5月1日号)

「ケアの外注」の危うさの中で

コロナ時代のケア。「外注」頼りの私たちが直面する危うさと課題とは

(2022年5月1日号)

特集とりとめな記

特集で編集者が気付いたあれこれ

特集編集班

連載 連載小説 (2022年5月1日号)

猛獣ども

ままならない休日。心にわだかまるのは過去の恋愛か、同僚への屈託か

連載 エッセイ (2022年5月1日号)

町田康の読み解き山頭火

行乞から逃れるように友を訪ね、酒を飲む。そんな山頭火の羞恥と憂鬱

連載 ショートショート漫画 (2022年5月1日号)

しおり物語

思いがけない手紙は特別にうれしい。ふんわり温かな余韻が残る最終回

連載 俳句エッセイ (2022年5月1日号)

アマネク ハイク

瀬戸内の春の浜辺で拾った硝子のかけらには、遠い過去の記憶があった

連載 エッセイ (2022年5月1日号)

兼好のつれづれ絵草紙

へべれけの語源から始まる酔いどれ討論会、家飲みはこれだから楽しい

三遊亭兼好

連載 ウェブ絵巻 (2022年5月1日号)

漱石クロニクル ―絵で読む夏目漱石の生涯―

47歳で『心』を刊行、学習院では『私の個人主義』について大いに語る

連載 俳句鑑賞 (2022年5月1日号)

楸邨山脈の巨人たち

塩田夫や海女など「日本の原郷」を鮮烈に描いた沢木欣一の世界を鑑賞

連載 医学ミステリー (2022年5月1日号)

Dr.よねやまの芸脳生活 芸術家の生き様を医学で考える

経済的基盤と自己肯定感を武器に、実篤は多様な分野で理想を追求した

連載 エッセイ (2022年5月1日号)

江戸の愛猫

江戸期の旅の象徴、東海道五十三次。その宿場名を猫で表す傑作を紹介

連載 動画 (2022年5月1日号)

Dr.よねやまの芸脳生活

「まとめ! 明治の芸術家たちの生き様」~Dr.米山のYouTubeレクチャー第24弾

連載 動画 (2022年5月1日号)

町田康のパンク山頭火ラヂオ

徒然なるままに山頭火を語る町田版自由律YouTube。注目の第4回配信

(2022年5月1日号)

歌舞伎役者.坂東彦三郎朗読動画バックナンバーの部屋

坂東彦三郎が朗読。河竹黙阿弥の歌舞伎狂言12選 絵は辻和子

春陽堂書店Web新小説編集部

編集後記 (2022年5月1日号)

気まぐれ編集後記

ネットに溢れる誤解と悪意。たまには言葉なんか邪魔だと言ってみよう

春陽堂書店Web新小説編集部

登録初月は無料

Web新小説会員登録はこちら