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『 スポーツは文芸をどのように彩ってきたか 』

玉木正之

スポーツは文芸をどのように彩ってきたか

玉木正之

第九回 『素晴らしいアメリカ野球』の影響を受けて生まれた『優雅で感傷的な日本野球』は、リアルに現実の日本を映し出している?

フィリップ・ロスの『素晴らしいアメリカ野球』(原題は“The Great American Novel”1973)がアメリカで出版されてから15年後、日本でも素晴らしい「野球小説」が出現した。

高橋源一郎の『優雅で感傷的な日本野球』は、あきらかにロスの影響を受けたと思われる作品で、野球を題材にして、しっちゃかめっちゃかに物語が上下左右どころか異次元にまで飛び跳ねるなかで、ロスが「アメリカとは何か?」という疑問に対する回答を探求したのと同様、高橋は「日本野球のこと」を考えるふりをしながら、「日本とはどんなものなのか?」をチョイと考えて見せた(と私は読み取った)。

高橋がこの作品を書くにあたって、ロスの作品以外に影響を受けたのは、一九八五年の阪神タイガースの優勝だろう。この年のタイガースは、一九六四年以来20年間も優勝から見放され、開幕直前の阪神電車大阪梅田駅構内の柱には、「甲子園へ応援に行くのはヤメロ!」「ファンはタイガースを甘やかさず、見放せ!」との「檄文」が張り出されたくらいだった。

ところがペナントレースが始まると予想に反してタイガースは勝ち進み、

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