楸邨山脈の巨人たち
北大路翼
楸邨山脈の巨人たち
北大路翼
第十四回 櫻井博道
力ばかりの世に
第一句集の印象は鮮烈である。のちに大作家となったとしても、第一句集が一番良かったと言われることが往々にしてある。理由はいろいろと考えられるが、第一句集は自由に編めるということが大きい。まだ何も評価が定まっていない状態なので、その作者自身の資質がそのまま一冊になっているからである。二冊目になると、一冊目の評価がどこかに付きまとってくるから、ああしなきゃ、こうしなきゃと悩んでいるうちに、改善のつもりが改悪になったりする。
櫻井博道も、第一句集が目立つ作家だ。第二句集以降は作風ががらりと変わってしまったので、単純にどちらがいいという比較はできないが、僕は断然第一句集を支持する。
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