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『 伝統と破壊の哲学 』

増田伸也

伝統と破壊の哲学 Vol.9

「なぜ僕は写真で世界を目指すのか」

増田伸也

HANAFUDA SHOUZOKU#24, 2017, Shinya Masuda

「野田ちん」

クラス一の乱暴者といわれ、特に女子からの不人気ナンバーワンだった「野田ちん」は随分誤解されていると僕は思っていた。

実際のところ、野田ちんの口癖は「うるせー! てめー! 馬鹿野郎!」だったから、乱暴でいつも怒っている印象が強いのもしょうがないことだったのかもしれない。

本当は心の優しい不器用な男であるということは、クラスの生徒たちにはほとんど知られていなかった。

一度、「野田君と仲良くするにはどうしたらいいのか?」という議題で学級会が開かれたことがあった。
それは本人を前にしてクラスのみんなが意見を交わす形式だったが、話し合いというよりは公開処刑に近かった。

日頃のうっぷんを晴らそうと一人の女子が勢いよく手を上げた。
「絶対仲良くなれません。だって野田君は凶暴だから・・・・・・、転校してほしいです」
この意見を皮切りに学級会はヒートアップしていき、終いには、
「野田君を土に埋めてしまえばいいと思います」と真顔で言う女子すら出てくる始末で、先生はジェスチャーで“まぁ、抑えて抑えて”と制した。
結局、生産的な意見は発されないまま、この日の学級会はお開きとなった。

全くシャレになっていなかった。
野田ちんは一方的に袋叩きにあった。

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