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山折哲雄ロングインタビュー(前編)

山折哲雄

「老病死」から死の規制緩和を思う
  山折哲雄ロングインタビュー(前編)



東北地方を襲った大震災から10年を経ずして、日本は、新型コロナウイルスの蔓延という新たな試練に見舞われてきた。高齢者の身に迫る死を、91歳になった宗教学者の山折哲雄さんは、どう受け止めているのか。住まいのある京都を訪れ、生と死をめぐる現在の考えを聞いた。


聞き手は宮川匡司(ジャーナリスト)


人は死して「自然へ還る」

 ―― 新型コロナウイルスの感染が広がっていった2年ほど前に、妻や夫、両親や祖父母の死に立ち会いたくとも立ち会えない、という事態が生じました。治療法が確立していないウイルスに感染した人には、たとえ遺体であっても近づいてはならない、というのがその理由でした。この疫病がもたらす理不尽な事態と受け止めていましたが、こうしたコロナをめぐる葬送の変化について、どう感じましたか。

コロナで親族を亡くした方々が、親の死に目に会いたい、最後の家族の旅立ちを見送りたい、と切実に思ったお気持ちは大事にしたいと思います。それは尊重しなければいけない。そのためにできることがあれば、社会的にサポートする機会を作ることは、それはそれで大切と思います。それを実践した人もいますよね。
 しかし僕自身は、そればかりが、人間の死を送る方法ではないだろう、と考えています。それは私のインド体験からも来ているものです。インドを旅していますと、都会は都会で、特に駅なんかへ行くと人間がごろごろ横たわっています。そこに寝転がっている人たちは、どうかすると、生きているのか死んでいるのか分からないように見えてしまう。半分死にかけているような人もいるわけです。それに誰も関心を持たない。だから犬ころが死んでいくように人間が日常的に死んでいく。人が石ころのようにそこに横たわっている。石ころと人間と犬とあんまり関係なさそうだけれど、同じ存在ですよね。何も人間だけが特別というわけではない。そういう文化もある。
 釈迦が考えたインドにおける「死」という問題は、おそらくそうした日常に根差していたと思います。決して異常なことではないと。人間と自然の関係というのはそういうもので、これは何千年、何万年の歴史があります。

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