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旅する少年

黒川創

旅する少年

黒川創

11 沖縄とTシャツ

  沖縄に行くには、Tシャツの着替えがいる。三枚、買っておこう。  

一九七六年、中学三年の夏休み、八月に入るころだったと思う。私は、そんなふうに考えた。

沖縄の日本国への「本土復帰」(一九七二年五月)から四年が過ぎていた。けれど、戦後二七年間の長きを米国の施政下に置かれた名残で、沖縄の道路は、まだ自動車の「右側通行」が続いていた。日本本土と沖縄の行き来は、ビジネス客などを除けば、まだ飛行機より、長い船旅を選ぶのが主流だった時代である。

沖縄のサトウキビ農家に援農に行ったことがある知人の青年に、初めて沖縄に行くにあたっての助言を求めた。

「北海道で君がやっとったような野宿の旅はできひんよ。沖縄には、ハブ(猛毒を持つヘビ)がおるから。夜の公園とかでも、気をつけんといかん」

半信半疑だったが、当時は、まだ、現在よりずいぶんハブの捕獲数も多かったのは事実のようである。

どうせ行くなら、沖縄本島だけではなく、さらにずっと南の八重山諸島、石垣島や西表いりおもて島にまで足を延ばしたかった。

当時は、有村産業の「フェリー玉龍」が、那覇─宮古─石垣─台湾(基隆キールン)という定期航路に就いていた。市販の『時刻表』に載っているのは、那覇─宮古─石垣という国内航路の部分だけだが、実際には、石垣から国際航路に変わって、台湾の基隆まで行く。

石垣島からは、沖縄本島に行くより、台湾のほうがずっと近い。米国施政下の時代には、この航路で、台湾から沖縄に、

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