いま、ここに、詩の言葉を ――東日本大震災から10年
管啓次郎
オープン・グラウンド(ひらけた土地)
管啓次郎
ぼくは何ももたずに出発した
本は必要なページだけ破りとっていった
なだらかに波打つ荒野から
ひとつの稜線を越えるたび
風景ががらりと変わる
岩とサボテンの高原の彼方に
雪が降りしきるデルタ地帯がひろがる
ヒマラヤシーダーの森のむこうに
緑の海のような草原がある
それから赤土の道路に出た
「海岸はどっち?」とぼくはディンゴに訊いた
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