町田康の読み解き山頭火
町田康
町田康の
読み解き山頭火
町田康
第三回「まつすぐな道でさみしい」二
前回からの続き。扨、そんなことで、山頭火は俳句を通じて、道d則ち人間の完成目指す道を歩み始めた。だから、昭和二年か三年、山頭火四十五、六歳の折に詠まれたのではないかとされる、
まつすぐな道でさみしい
という句の道という語には、道a則ち実際の道路を見て詠んだ句ではありながら、道dの意味も含んでいることは容易に推察できる。
と言ってしかし世の中には疑り深い人が居り、
「イヤー、そんなことがどうして断言できるのでしょうかネー。道b、道c、である可能性はゼロなんでしょうかネー」
と卑しみ笑いを浮かべて語尾カタカナで聞いてくるので、それについても一応考えてみよう。
ただし俳句なんてものは文字数が少ないから、曲解しようと思えばいくらでも曲解できるのだが、曲解が只の
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