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Dr.よねやまの芸脳生活 芸術家の生き様を医学で考える

米山公啓

Dr.よねやまの芸脳生活

芸術家の生き様を医学で考える

米山公啓

第八回 森鷗外と肺結核 ②

軍医と作家の生活

高木兼寛は白米をパン食に替えて、海軍の脚気を激減させた。鷗外らは最後までこうした高木の考え方を認めなかった  画/米山公啓

森鷗外はドイツ留学から帰国後、医学関連の著述を次々に発表すると同時に、文学活動にも力を入れるようになった。明治23年には、「舞姫」「うたかたの記」を発表。他にも西洋文学の翻訳を複数、発表し、文壇に評価された。明治29年には文芸雑誌『めさまし草』を創刊し、そこで文芸評論や自作を発表するようになる。

軍医としては明治24年に医学博士を授与され、26年には陸軍軍医学校校長、さらに陸軍大学校教官兼任(29年)と、その地位を確立していく。

こうして軍医の立場を維持しながら、文学者としては論争を繰り返し、批判的になってしまう作家としての共存が鷗外の生き方であった。なお、軍医の立場は定年まで保っている。それは純粋な作家になれなかった鷗外の弱みでもある。

現代の作家も自分の職業を持ちながら、作家を続けていく人は多いが、それは、いま作家業が以前ほど安定した収入が得られないということもあるだろう。

鷗外は作家になりたかったのであろうが、エリートとしての軍医の立場を捨てようとしたことはなかったし、捨てられなかったのだろう。

私も作家活動のスタート時は大学病院にいながら、現場の医療エッセイを書いていた。

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