山頭火の後ろを歩く
せきしろ
山頭火の後ろを歩く
せきしろ
私が通っていた高校では毎年「強行遠足」という名の行事があった。正確な数字は忘れてしまったが、約71kmの距離を踏破するもので、走っても良いし歩いても良い。ただし制限時間までにいくつか設けられている関門を通過できなかった場合はリタイアとなる。中にはほぼ走り切る強者もいた。
私はそんな行事を3度も経験したために、ふと道路標識を見上げた時『◯◯ 80km』と地名と距離が書いてあったとしても、「まあ、これくらいなら走ったり歩いたりしていたら辿り着くことができるな」と思ってしまう脳になってしまった。距離感が少々おかしくなったのだ。おかげで飲みすぎて終電を逃して歩くことなど苦ではなかった。
高校を卒業して上京し、ただただ無駄な時間だけが流れた。あんなに早く出て行きたかった故郷なのに、
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