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『 愛のレシピ:23歳 』

下平咲

愛のレシピ・・23

下平咲

揚げ物でテンションは上がらない

大学生になり上京したタイミングで、父親を探すことにした。

理由は単純に、自分の父親が今どのような生活をしているのか気になったからだった。

そして、このまま一生、一度も会わずに彼が死んでしまったら、
私はなぜ生きている間に彼と会おうとしなかったのだろう、と
きっと後悔するのだろうなと思ったからである。


私は諏訪に住む、祖父の姉に会いに行った事があった。
こちらから父親の話をせずとも、彼女の口から父の話題が出てきた。

私の父と母はお見合い結婚だった。
何事にもどっしりと構え、穏やかな人柄の父は、
私の祖母に大層気に入られたらしい。
その時、母は別に付き合っている人がいたみたいだったが、
両親の意見を受け入れ、父と付き合うようになった。

これは推測だが、母は自分のために結婚をした、というよりは
自分の両親を喜ばすために結婚したんじゃないのかな、と思う。
私が母だったらきっと、私の母だったらきっと、そうするような気がする。

子どもがそんなに好きでなかった母が子どもを産んだのも、
下平家を継いだ自分の責任だと思ったのだと思う。

婿養子で下平家に入った父は、母と離婚後、兄と私に二度と近づかないようにと、
母の祖父母にお金を渡され、家を後にしたという。
親戚は皆、私の父を不憫に思い、父と母のお見合いの仲人をしてくれた人は、
私と兄に今でも申し訳ない気持ちでいると祖父の姉に話していたそうだ。

そしていつか、私たちが父親に会いたいと言った時には連絡がすぐ取れるようにと、
父の連絡先を今も保存してある、とも言っているよ、と祖父の姉は私に話した。

私は貰った連絡先にメールをし、父親と新宿で会うことにした。

若い頃の父の顔なら写真で見た事があったし、
私自身は小さい頃から顔が全く変わっていないので、

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