『 愛のレシピ:23歳 』
下平咲
愛のレシピ・・23歳
ノンアルコールで泣いてしまった日
「咲、お誕生日おめでとう!!!」
人生の一区切りともいえる20歳の誕生日は、
同じ大学の友だちである、わーさんが祝ってくれた。
長野県千曲市出身の、おっとりとしている彼女とは、大学の入学式の日に仲良くなった。
彼女といると気が楽で、私は彼女と一緒にいる時間が大好きだった。
私よりも一足早く20歳になっていたわーさんと焼肉を食べに行った後、
お酒を買って乾杯し、私の家で映画でも観ようということになった。
焼肉屋から帰る途中、家の近くのセブン-イレブンに立ち寄った。
ビールは不味そうだのハイボールは炭酸でお腹がいっぱいになりそうだのと言いながら、
ずらりと並ぶお酒の中から消去法で選んだ。
焼肉を鱈腹食べてしまった後で、美味しくアルコールを飲む自信が2人ともなかった。
しかし折角2人ともがお酒を飲める歳になったのだし……と、
散々吟味して私たちが選んだものはサントリーのオールフリー、
ビールもどきの炭酸飲料だった。
家に帰り、早速開けてみた。
一缶をグラス2つに分けて注ぐ。
まずは先に20歳になり何度かお酒を飲んだことがあるわーさんがひと口。
「ん〜〜〜〜、これならまだ普通のビールの方が美味しいかも!?」
と眉間にしわを寄せながら言った。
その顔を見て、恐る恐る私もひと口、飲んでみた。
「あ〜〜、これ好きじゃない味!」
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