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『 伝統と破壊の哲学 』

増田伸也

伝統と破壊の哲学 Vol.4

「なぜ僕は写真で世界を目指すのか」

増田伸也

HANAFUDA SHOUZOKU#4, 2015,Shinya Masuda

「坂田くん」

今回は図画工作の話からちょっと離れて、僕の初めてのお友達、坂田くんにまつわる思い出を書いてみようと思う。

小学校1年生になったばかりの頃、僕は孤独だった。
毎日学校から帰ってきてランドセルを下ろすやいなや、ひとり人形劇を上演していた。
演じるのも観るのも自分だけである。
一日も欠かさず、せっせと脚本を考え、人形を使って演じ、その出来の良さに一人酔いしれていた。
どんな脚本かというと、それは涙あり笑いありの人情もので、土曜のお昼に曾祖母と必ず見ていた藤山寛美の松竹新喜劇の影響を色濃く受けたものだ。

今でこそ質素な暮らしをしている僕だが、当時の増田少年は大きな屋敷に曾祖母と祖母と母と家政婦さんとで暮らしていた。
亡き曾祖父が一獲千金を得て、手に入れた屋敷だ。

屋敷には、絵が好きだった曾祖父が集めた屏風や掛軸が季節ごとに替えられ飾られていた。
増田少年は、特に好んで鷹と僧兵の屏風の前でせっせとひとり人形劇に興じていた。

そんな僕に初めて友達ができた。
そう、坂田くんだ。
記念すべき出会った日の記憶は、残念ながら消えてしまっている。

僕の住む家から大通りを挟んだ少し先の小さな路地に坂田くんの家はあった。

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