キャンペーン情報やWeb新小説の裏話も!公式Twitterはこちら  今すぐチェックする

『 伝統と破壊の哲学 』

増田伸也

伝統と破壊の哲学 Vol.4

「なぜ僕は写真で世界を目指すのか」

増田伸也

HANAFUDA SHOUZOKU#4, 2015,Shinya Masuda

「坂田くん」

今回は図画工作の話からちょっと離れて、僕の初めてのお友達、坂田くんにまつわる思い出を書いてみようと思う。

小学校1年生になったばかりの頃、僕は孤独だった。
毎日学校から帰ってきてランドセルを下ろすやいなや、ひとり人形劇を上演していた。
演じるのも観るのも自分だけである。
一日も欠かさず、せっせと脚本を考え、人形を使って演じ、その出来の良さに一人酔いしれていた。
どんな脚本かというと、それは涙あり笑いありの人情もので、土曜のお昼に曾祖母と必ず見ていた藤山寛美の松竹新喜劇の影響を色濃く受けたものだ。

今でこそ質素な暮らしをしている僕だが、当時の増田少年は大きな屋敷に曾祖母と祖母と母と家政婦さんとで暮らしていた。
亡き曾祖父が一獲千金を得て、手に入れた屋敷だ。

屋敷には、絵が好きだった曾祖父が集めた屏風や掛軸が季節ごとに替えられ飾られていた。
増田少年は、特に好んで鷹と僧兵の屏風の前でせっせとひとり人形劇に興じていた。

そんな僕に初めて友達ができた。
そう、坂田くんだ。
記念すべき出会った日の記憶は、残念ながら消えてしまっている。

僕の住む家から大通りを挟んだ少し先の小さな路地に坂田くんの家はあった。

ここから先をお読みいただくには
会員登録をお願いいたします。

登録をするとすべての著者のバックナンバーをお読みいただけます。

最新号のコンテンツ

連載 連載小説 (2021年9月号)

猛獣ども

別荘地で熊に殺された男女…不穏な波紋の広がる先は。注目の新連載

連載 連載詩 (2021年9月号)

最少の言葉で詩作する試み

言葉の意味から滲み出すものを探る。最少の言葉で紡ぐソネット最終回

谷川俊太郎

連載 連載詩 (2021年9月号)

週末のアルペジオ

走り去る列車が映し出す過去。適切な孤独が作り出すふたりの未来

三角みづ紀

連載 エッセイ (2021年9月号)

町田康の読み解き山頭火

一所不在の俳人・山頭火。作品を鑑賞しながら縦横無尽に人生をたどる

連載 イラスト評伝 (2021年9月号)

エピソードで知る種田山頭火

生涯を放浪の中に生きた山頭火。行乞の日々とはどんなものだったのか

春陽堂書店編集部

連載 動画 (2021年9月号)

待ってました! 黙阿弥歌舞伎への招待

坂東彦三郎の朗読とGIFアニメで楽しむ電脳紙芝居第6弾「髪結新三」

春陽堂書店Web新小説編集部

連載 エッセイ (2021年9月号)

兼好のつれづれ絵草紙

同じ言葉でも誰に言われるかで変わる?「おい、その咄誰に習った?」

三遊亭兼好

連載 ウェブ絵巻 (2021年9月号)

漱石クロニクル ―絵で読む夏目漱石の生涯―

ロンドンで化学者・池田菊苗と共に過ごし、大きな刺激を受ける

連載 俳句鑑賞 (2021年9月号)

楸邨山脈の巨人たち

加藤楸邨門下を読み解くシリーズ。冷徹な作風の女流・寺田京子第一回

連載 医学ミステリー (2021年9月号)

Dr.よねやまの芸脳生活 芸術家の生き様を医学で考える

最晩年まで安定して執筆を続けた常識人・泉鏡花の稀有な作家人生とは

連載 動画&エッセイ (2021年9月号)

假屋崎省吾の絶品紀行~日々を華麗に彩る~

9月9日は重陽の節句。品格があり高潔な菊は大人の雰囲気にぴったり

假屋崎省吾

連載 紀行エッセイ (2021年9月号)

銭湯放浪記

ウワサの銭湯見たさに新幹線で京都へ。目の前に現れた贅沢な空間は?

連載 動画 (2021年9月号)

Dr.よねやまの芸脳生活

熱海の物語と尾崎紅葉~Dr.米山の必見動画第16弾

連載 動画 (2021年9月号)

町田康のパンク山頭火ラヂオ

徒然なるままに山頭火を語る町田版自由律YouTube。注目の第4回配信

Web新小説会員登録はこちら