戦争の対義語は
上田岳弘
戦争の対義語は
上田岳弘
小説を本格的に書こうと考えて、筆をとった――という表現もまた「鳩が豆鉄砲を食らったような顔」と同様に古びた慣用表現ではある。僕は豆鉄砲なるものを見たことはないし、したがって鳩が豆鉄砲を食らったところも見たことがない。けれど、不思議と鳩が豆鉄砲を食らったところを想像することはできる――20代前半の頃、古本屋や図書館に通っては、聞いたことのあるタイトルの小説があれば片っ端から手に取って、ぱらぱらとめくった。
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