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『 楸邨山脈の巨人たち 』

北大路翼

楸邨山脈の巨人たち

北大路翼


第八回 孤高の才女 寺田京子(二)


愛ゆえに

「僕は寒雷をやめます」

楸邨は激情家の一面があった。

冒頭の一言は句会での発言。声を震わせて立ち上がったという。会員の句があまりにも不甲斐なかったことに激怒したようだ。自分が主宰の会なのに、そこをやめると言い出すとは洒落にならない怒りである。もっとも不甲斐ないとは技術のことではなく、チャレンジしない精神に腹を立てたらしい。第一声は「ここには僕より若い人はいませんね」だった。なんとも皮肉で辛辣なセリフである。出席者はさぞ肝を冷やしたことだろう。

真面目さを突き詰めた怒り。どこか寺田京子に似ていないだろうか。

楸邨の怒りの根幹には、戦後の飢えや混沌があった。つまりは社会への不満、怒りである。京子の場合も

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