楸邨山脈の巨人たち
北大路翼
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北大路翼
第十一回 川崎展宏 知的な反逆者(一)
虚子への傾倒
いままで紹介して来た中でもっとも「寒雷」らしくないのが川崎展宏である。兜太の土着性、澄雄の頑なさ、京子の弧心、太穂の思想性など、いずれにも漂う人間臭さ。業とでも言うべき不可避な物語と向き合うことに、「寒雷」の面目があったのである。ところが展宏は最初から最後まで目指すところは高浜虚子であった。第一句集『葛の葉』(昭和四十八年刊)よりも評論集の『高浜虚子』(昭和四十一年刊)が早いことからも展宏の立ち位置はわかるだろう。
虚子と言えば「花鳥諷詠」である。花鳥とは自然のこと。もっと言えば季語にある自然のことだ。それを
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