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『 漱石クロニクル ―絵で読む夏目漱石の生涯― 』

大高郁子

漱石クロニクル

  ―絵で読む夏目漱石の生涯―

大高郁子

第九回 『吾輩は猫である』―三十八歳、文壇の大家となる

明治三十六年(一九〇三年)三十六歳

一月十五日、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)は、東京帝国大学文科大学長、井上哲次郎から、三月限りで講師の契約を打ち切ると伝えられる。八雲の月額四百円という高額な報酬が理由の一つだった。

一月二十日の朝、漱石の乗った博多丸は長崎港に入港。下関を経て一月二十二日の夜、神戸港に入港する。
 一月二十三日、漱石は検疫を終えて神戸に上陸し、神戸停車場発の急行で東京に向かう。

一月二十四日の午前九時三十分、新橋停車場に着く。知らせを受けた家族や親戚のほか、寺田寅彦が迎えに来ていた。(鏡子と中根重一は前日、国府津こうづまで迎えに行った)

寺田寅彦「夏目漱石先生の追憶」より

《新橋駅(今の汐留)へ迎いに行ったら、汽車から下りた先生がお嬢さんのあごに手をやって仰向かせて、じっと見詰めていたが、やがて手をはなして不思議な微笑をされた》
 筆子にとっては、物心ついてから初めて見る父親である。筆子は漱石が普通の父親と変わりないので落胆する。漱石は筆子が以前は色白の可愛い娘であったが、汚く憎らしい子供になっていたので落胆する。

鏡子の暮らしていた牛込区矢来町三番地中ノ丸(現・新宿区矢来町三番地)の中根重一方の離れに入る。そこは「三年間畳替えもしなければ何の手入れもしない、ただ留守中雨露うろしのいでいたというだけの荒れに荒れた家」(鏡子)だった。筆子は怯えたように父を避け、恒子はおできだらけで人見知りして泣く。

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