【注目動画】朗読とアニメで歌舞伎を楽しむ!電脳紙芝居「御所五郎蔵」  今すぐチェックする

『 楸邨山脈の巨人たち 』

北大路翼

楸邨山脈の巨人たち

北大路翼


第三回 金子兜太(三)


もどかしき晩年前期

四十代後半から熊谷に移り住んだのも大きな契機だった。写実的な句が増え、句材も身の回りのものに取材することが多くなってきた。複雑な句が減り、素直な句が目立つ。日常、生活というのは初期の頃からの一貫したテーマではあるが、一つの土地に落ち着くことでいよいよ確定的になったようだ。


  暗黒や関東平野に火事一つ

(『暗緑地誌』一九七二年刊)

この句は熊谷から都内に通勤する車窓で詠んだもの。「暗黒や」の歌い出しに、壮大な物語の始まりのようなスケールがある。「関東平野」という大景に、いつか関東という土に自分も還っていくのだという思いが込められている。


  廃材に猫がはさまる昼の月

(『狡童』一九七五年刊)

  海鳥が撃突おれの摩崖仏

(『旅次抄録』一九七七年刊)

  大頭の黒蟻西行の野糞(同)
  富士黒く露にまみれて嘔吐の態(同)
  梅咲いて庭中に青鮫が来ている

(『遊牧集』一九八一年刊)

  谷間谷間に満作が咲く荒凡夫(同)
  猪がきて空気を食べる春の峠(同)

定年以降の作品を見ていこう。

ここから先をお読みいただくには
会員登録が必要です。

最新号のコンテンツ

連載 連載詩 (2021年5月号)

週末のアルペジオ

連載二年目を迎え、詩と写真で綴る不確かな世界がさらなる輝きを放つ

三角みづ紀

連載 連載詩 (2021年5月号)

最少の言葉で詩作する試み

静かに迎える朝。見えない鳩の声を追いかけるように言葉が生まれる

谷川俊太郎

連載 動画 (2021年5月号)

オンライン対談 谷川俊太郎×俵万智

注目対談谷川×俵その2。言葉と音楽、秘密の話が止まらない27分

谷川俊太郎×俵万智

連載 エッセイ (2021年5月号)

寺子屋山頭火

出家し、堂守となった山頭火。その人生は落ち着いたように思われたが

連載 イラスト評伝 (2021年5月号)

エピソードで知る種田山頭火

惑う心を持て余し、酒に溺れる山頭火。挙句の椿事が出家のきっかけに

春陽堂書店編集部

連載 動画 (2021年5月号)

待ってました! 黙阿弥歌舞伎への招待

名セリフを彦三郎の朗読とアニメで楽しむ電脳紙芝居「御所五郎蔵」

春陽堂書店Web新小説編集部

連載 エッセイ (2021年5月号)

兼好のつれづれ絵草紙

速さ、静かさ、快適さが大好き!押しの新幹線にはお礼が言えるのに…

三遊亭兼好

連載 エッセイ (2021年5月号)

俳句で味わう、日本の暮らし

大祓は半年の穢れを落とす神事。今に伝わる行事を活写する名句を鑑賞

連載 ウェブ絵巻 (2021年5月号)

漱石クロニクル ―絵で読む夏目漱石の生涯―

寄席をきっかけに親しくなる漱石と子規、文学者として互いを認め合う

連載 俳句鑑賞 (2021年5月号)

楸邨山脈の巨人たち

金子兜太最終回。写実的な句が増え、俳句が生活に近づく晩年期を読む

連載 医学ミステリー (2021年5月号)

Dr.よねやまの芸脳生活 芸術家の生き様を医学で考える

命を削るようにして新しい日本画に打ち込んだ早逝の革命児、菱田春草

連載 動画&エッセイ (2021年5月号)

假屋崎省吾の絶品紀行~日々を華麗に彩る~

母への感謝を表すカーネーション。丈夫でリーズナブルな点にも注目!

假屋崎省吾

連載 紀行エッセイ (2021年5月号)

銭湯放浪記

国際通りの裏で見つけた沖縄風の銭湯。なぜか名前は「東京湯」だった

連載 動画 (2021年5月号)

Dr.よねやまの芸脳生活

挑戦する脳のエネルギー~菱田春草編Dr.の必見YouTube好評配信中

連載 動画 (2021年5月号)

町田康のパンク山頭火ラヂオ

徒然なるままに山頭火を語る町田版自由律YouTube。注目の第4回配信

Web新小説会員登録はこちら