兼好のつれづれ絵草紙
三遊亭兼好
兼好のつれづれ絵草紙
三遊亭兼好
其ノ十七 寄席には傘を
「雨男」という言葉がある。
「大事な用事がある時、その人がいると、必ず雨になる」。そんな人物を差して「雨男、雨女」などと言う。ただ、「朝焼けは雨、夕焼けは晴れ」とか「燕が低く飛ぶと雨」などという言い伝えと違って、何の根拠もない。それでも「雨男、雨女」という言葉は社会に根ざしていて、どの集団にも一人や二人、「雨男」や「雨女」がいるものだ。会員二百五十人以上を擁する「日本雨女雨男協会」なるものもあるらしい。
雨が降ると、お客さんが二割方減ると言われる寄席では、「雨男」はおおいに嫌われる。自分の独演会や規模の大きな落語会に出演すると、必ずといっていいほど悪天候になる私は、いわゆる「雨男」である。雨の日の楽屋ではとても肩身がせまい。
私の師匠好楽も「雨男」で、ゴルフや大事なパーティーなどは
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