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『 スポーツは文芸をどのように彩ってきたか 』

玉木正之

スポーツは文芸をどのように彩ってきたか

玉木正之

第四回 スポーツに現れるエロスを初めて描いた阿部知二『日独対抗競技』と、スポーツを描かなかった田中英光『オリンポスの果実』

日本の近代文学がテニス(島崎藤村『破戒』一九〇六=明治39年)とともに幕を開け、戦後文学がボクシング(石原慎太郎『太陽の季節』一九五五=昭和30年)で始まるその間の昭和初期に、日本では史上初の大スポーツ・ブームが巻き起こった。

二〇世紀に入る明治末期、早稲田、慶応、明治学院などの大学野球人気が大爆発。一九一二(明治45)年にはストックホルム大会で日本選手がオリンピックに初出場。一九二四(大正13)年には中等学校野球大会(現在の高校野球)に集まる大観衆を収容するため、東洋一の巨大な阪神甲子園球場が落成。一九二八(昭和3)年オリンピックアムステル大会では、織田幹雄(三段跳び)と鶴田義行(二〇〇m平泳ぎ)の二選手が金メダルを獲得し、東京の街は大勢の人々が練り歩く提灯行列で溢れた。

そんなスポーツブームのなかで阿部知二が一九二九(昭和4)年十月に

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