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寺子屋山頭火

町田康

寺子屋山頭火

連れて行かれた寺で出家得度。「耕畝」と改名し味取で堂守となる。山頭火を仏門に導いたのは果たして何ものだったのか。

町田康

第十七回 現れた観音

疑問 一、なぜ木庭徳治が一喝したら憤激していた群衆が一瞬でおとなしくなったのか。

疑問二、なぜ態度が悪かった山頭火が唯々諾々と連行されたのか。もしかして知り合い? っていうかそもそも木庭徳治ってたれ?

疑問三、泥酔して足元も覚束ぬおっさんを二キロも離れたところまで引っ張っていけるか? タクとか呼んだの? つか、この時代、熊本にタクあったの?

先月、告知したとおりこの三点の疑問について考えて参る。といって一か月経って忘れている御方がいらっしゃるかもしれないので、どんなことだったか前後の経緯を改めて記すと、大正十三年末未詳の或る日。

・ 山頭火、市内で泥酔

・ 自殺しようとして走ってくる市電の前に飛び出し市電急停車

・ 憤激した乗客・群衆にボコボコにされかかったところを木庭徳治という人物に救われ

・ 木庭により報恩寺に連れて行かれ望月義庵和尚の導きにより出家得度した

ということなのだが、実際の話、どんなことだったのだろうか。

疑問二について考えられるは、木庭徳治と山頭火が知り合いで、かつ木庭は山頭火にとって頭が上がらない人物であった、ということで、

「おお、種田やないかい。こんなとこでなにさらしとんね」

「ああ、木庭さん。面目ない」

「いつまで阿呆なことやっとんね、しっかりせんかいっ」

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