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『 もしもの日本史・創作シリーズ 光秀と藤孝 』

菊池道人

もしもの日本史・創作シリーズ

菊池道人

光秀と藤孝 第三回

京の乾(北西)にある愛宕神社。その下坊(付属寺院)である福寿院の僧侶、幸朝こうちょうに関しては心当たりがあった。今頃は今出川(京都市上京区内)の相国寺近くにある重臣の米田求政こめだもとまさ宅にいるはずである。求政は十五代将軍足利義昭を救出した功労者である。

義昭の兄である十三代将軍足利義輝は越後(新潟県)の上杉輝虎(謙信)ら地方勢力を味方にすることで、将軍家の威信回復を目指していたが、このことが室町幕府の実権を握る三好一族の反感を買っていた。

永禄八年(1565)五月、三好長逸、三好政康、岩成友通のいわゆる三好三人衆に松永久秀らは、清水寺参詣と偽って兵を入京させると、義輝のいる二条御所を取り囲んだ。武芸の達人であった義輝は自ら太刀を振るって奮戦した末、自害した。

三好の軍勢は、出家して奈良の興福寺一乗院の門跡もんぜきとなっていた義輝の弟、覚慶かくけいも幽閉した。

若年より義輝の側近く仕えていた藤孝は主君の無念を晴らすために、覚慶を救出して次期将軍とすべくその策を家臣たちと練った。医術の心得がある求政は覚慶の病気治療と称して寺の中に入り、包囲していた三好の兵たちには快気祝いの酒を振舞い、酔いつぶれた隙を狙って覚慶を外へ連れ出したのであった。覚慶はその後、還俗し、義昭と名乗る。

藤孝の知恵袋ともいうべき求政は、次男でこの天正十年には十二歳の藤十郎を建仁寺の塔頭たっちゅう(小院)、

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