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『 鬼ものがたり 』

桑原茂夫

鬼ものがたり

桑原茂夫

第7話

自ら死を選んだうつくしい人 編

絵 東學

わたしがお仕えしているお方は、たいそうな家柄のご子息なのですが、どうも無鉄砲なところがありまして、わたしも巻き込まれて途方に暮れること、しばしばでしたが、ウマが合うとでもいうのでしょうか、いやな思いをしたことはなく、むしろ親しみを込めて「ワカ」と呼んでいるくらいです。

そのワカの無鉄砲ぶりも、こんどばかりは窮地に追い込まれ、さすがに懲りたようでして、まあそれはいいのですが、いやいや、もしかしたらまだカタがついていないんじゃないかという恐れもあり、よいご助言をいただければ、とこうして参った次第です。

   ●

この春先のことでした。なにを思ったのか、清水寺の縁日へ行こうと誘われました。まだ若くて眉目秀麗な貴公子然とした方ですから、そういうところに出かけるのはどうなのかな、性悪な女に引っかかったりゴロツキにからまれたりしたら厄介だな、などと心配になり、護衛役でもありますから、懐に短刀を忍ばせるなどそれなりの準備もしました。

ずいぶん人が出ていて、わたしにとっても少なからず刺激的な参道や境内でしたが、ワカはひとりの若い女に目を奪われていました。「お忍びの方かな」と、わたしにそっと告げたのですが、わたしには、ちょっとあやしい雰囲気を身にまとったお方にも思えました。

しかしワカはすっかり参ってしまったようで、その方の行き先を突き止めるように命じておいて、自分はさりげなくその方の前を通り過

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