明るく気楽に大らかに
茂山逸平
能楽師大蔵流狂言方
茂山逸平
逸平の「三番三」。神事・祈禱の曲。動画はこちらから。
狂言は室町時代から人を笑わせてきた伝統芸能です。演者の対話を中心に、言葉と仕草によるお芝居で大らかな笑いを育んできた狂言は、現代の新喜劇やコントの元祖とも考えられます。ただし、「このあたりに住まいいたす者でござる」などと言って演者が登場する狂言は、場所を限定せず、太郎冠者、大名、女、婿、山伏、僧侶、すっぱ(詐欺師)、鬼といった登場人物の多くが固有の名前を持っていません。対象となる場所や人を特定しないから、権力者や貪欲な人物を痛快に笑いのめすこともできるし、誰かを傷つけることも、誰かが傷つくこともない。そこが今どきの笑いとは大きく異なっています。
狂言の笑いは、地位や身分にかかわらず、誰もがやらかしがちな失敗や人の愚かさを風刺しますが、上から目線で
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