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『 スポーツは文芸をどのように彩ってきたか 』

玉木正之

スポーツは文芸をどのように彩ってきたか

玉木正之

第三回 ボクシングを利用した石原慎太郎と利用できなかった三島由紀夫

前回書いたことだが、夏目漱石が「明治の最初の小説」と評した島崎藤村の『破戒』(1906=明治39年自費出版)には、長野県飯山町の高等尋常小学校で「打球板(ラケット)」を使って「庭球(テニス)」をする様子が詳しく描かれている。

それは「和魂()()」から「和魂()()」へと激変する世の中の象徴で、にもかかわらず昔から微塵も変わらない差別的社会のあり方との対比として用いられたとも言える。

そして近代日本が戦争へ突き進み、焼け野原となったあと、新しく生まれた戦後世代による小説に用いられたスポーツは、ボクシング(拳闘)だった。不道徳的で反倫理的と批判もされた石原慎太郎の『太陽の季節』である。

《竜哉が英子に惹かれたのは彼が拳闘に惹かれる気持ちと同じようなものがあった。それには、

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