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『 愛のレシピ:23歳 』

下平咲

愛のレシピ・・23

下平咲

無理矢理オムレツ

卵3個にマッシュルームとほうれん草、ツナとチーズも入れたい。

私のオムレツはいつも欲張りで具沢山だ。
歳をとって食が細った祖母に、少しでも栄養を多く摂ってもらうための愛情と、その他諸々がいっぱい入った無理矢理なオムレツである。
卵3個にはとても収まらない量の具材をたっぷりと入れる私のオムレツは、
一般的なオムレツのように卵で具を包むなどということは到底不可能なのだが、
オープンオムレツと呼べるほどお洒落な代物でもないので、
そのまんま、無理矢理オムレツと呼ぶのが妥当かなと思う。

兄の隠し事が祖母にバレた日も、私は無理矢理オムレツを焼いていた。
兄はエジプト旅行に行くことを彼女には言わずに日本を出てしまった。
おばあちゃんを心配させたくないが故の彼の行動は、逆に彼女を傷つけたようだった。

「私が一度でも彼のしたいことに反対したことなんてあった?
私に隠し事をするなんて、信用していたものも信用できなくなってしまうよ」

祖母はずっと鋼のような強い人だった。
周りの力を一切借りず、その身ひとつで一心不乱に私たち兄妹を育ててきた。
どんなに周りに非難されようと、どんなに敵を作ろうと、
弱さを見せることはほとんどなく、いつも強い眼差しで私たちだけを見つめていた。

そんな祖母が今、泣いている。
兄の小さな隠し事で、本当は今までずっと今にも切れそうだった彼女の糸が
プツリ、と切れてしまったようだった。

オムレツを焼くコンロの火を止め、祖母を抱きしめた時、祖母がポツリと言った。

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