YouTube「Dr.よねやまの芸脳生活」好評配信中! 米山さんへの質問を受付中!  今すぐチェックする

『 愛のレシピ:23歳 』

下平咲

愛のレシピ・・23

下平咲

救いようのないゆで卵

私はストイックなところがある。
摂食障害になったのも、その性格が大きく関係していると思う。

私が進学した赤穂高校は、あまり偏差値の高い学校ではなかった。
私の家系はみんな頭が良かったため、男は一番偏差値の高い伊那北高校に行き、
女は二番目に偏差値の高い弥生高校に行くのがお決まりだった。

赤穂は三番目と言われていたが、それでも伊那北に行った兄にとって
「赤穂はバカ穂」であり、おばあちゃんもそれを聞いて笑っていた。

弥生を受験して落ちるほど学力が無かったわけじゃないが、
勉強が好きでもない上に、あまりパッとしない弥生の制服を着て、
家から徒歩20分ほどの、今までと変わらない通学路で高校時代を過ごすことに
当時の私は魅力を感じることができなかった。

受験勉強を必死にしてまで、弥生に行きたいとは思えなかったのだ。


赤穂は私の住んでる所から電車で1時間弱のところにあった。

少女漫画を読んで育った私は、電車通学という言葉に心が踊った。
また、赤穂高校は私服校だったため、生徒の大半は〝なんちゃって制服〟を着ていた。
いかにも高校生!な色とりどりのチェックのプリーツスカートや、ピンクやココア色のカーディガン、スタイリッシュなデザインのブレザー、全体のバランスに合わせて選んだリボンやネクタイを身につけ、淡く儚い青春時代を駆け抜ける若者たちの姿こそ、私の憧れだった。

家族に馬鹿にされないように、親戚の目を気にしなくてもいいように、私は猛勉強をした。
赤穂なら今の学力のままで受かることは分かっていたが、妥協して赤穂に進学したと誰にも思われたくなかった。

無事赤穂に合格し、私は憧れの高校生になれたのだった。
高校では好きなことを思い切りやりたいなと期待で心を膨らませていた。

入学してすぐ、部活見学が始まった。

ここから先をお読みいただくには
会員登録が必要です。

最新号のコンテンツ

連載 エッセイ (2020年8月号)

俳句で味わう、日本の暮らし

農家の三大厄日とされた二百十日。禍を祓い豊作を願う名句を読み解く

連載 連載詩 (2020年8月号)

週末のアルペジオ

思いがあふれ、色彩が響く。寄る辺なき時代を支えてくれる言葉がある

三角みづ紀

連載 エッセイ (2020年8月号)

寺子屋山頭火

生活と芸術の乖離に苦しむ山頭火。自らのskillで稼ごうと試みるが…

連載 フォト小説 (2020年8月号)

スーパーフィッシュと老ダイバー

好奇心に駆られ旅に出るジョージ。恐ろしい体験が彼を待っていた

連載 回想記 (2020年8月号)

旅する少年

父に乞われ北海道へ。同行した父の友人は兵隊の出立ちをしていた

連載 医学ミステリー (2020年8月号)

Dr.よねやまの芸脳生活 芸術家の生き様を医学で考える

スペイン風邪で亡くなった島村抱月。その体験的な生き方が病を招く

連載 スポーツ随想録 (2020年8月号)

スポーツは文芸をどのように彩ってきたか

ボクシングに全く異なる向き合い方をした、石原慎太郎と三島由紀夫

連載 妖異譚 (2020年8月号)

鬼ものがたり

わたしをじっと見つめる女の真っ青な目。謎の小箱を預かったが……

連載 (2020年8月号)

伝統と破壊の哲学

母再婚。新しい友達ババヤンのブレーキがない自転車でスリルを味わう

連載 新人デビュー小説 (2020年8月号)

愛のレシピ:23歳

まるで高級な霜降り肉みたいに、いつまでも消化できないヘヴィな記憶

連載 英国レポート (2020年8月号)

アーツ&クラフツ、娘の仕事 メイ・モリスという才能

父の死を受け入れ、メイは新たな分野ジュエリーに創造性を見出す

連載 動画 (2020年8月号)

玉木正之のWeeklyスポーツ萬歳

スポーツの魅力を超絶説法で解説。ご存知タマキ先生絶好調動画連載中

連載 動画 (2020年8月号)

Dr.よねやまの芸脳生活

「新型コロナ第二波は?」生き様から芸術家の死を探るDr.の必見講座

Web新小説会員登録はこちら