中村吉右衛門、狂言復活の大いなる力
児玉竜一
中村吉右衛門、狂言復活の大いなる力
児玉竜一
昨年十一月二十八日、二代目中村吉右衛門が七十七歳で逝去した(十二月一日に報道)。
三月二十八日にホテルでの食事中に倒れて緊急搬送という報道以来、一般には情報が途絶えていたが、病床で闘うこと八ヶ月、ついに力尽きてしまった。
中村吉右衛門は、現代の歌舞伎において、古典歌舞伎の枢要を占める存在といっても過言ではなかった(「朝日新聞」十二月三日掲載の拙稿参照。二月初旬発売の雑誌『演劇界』でも大々的な追悼特集が予定されている)。卓越した個人の技芸は言うまでもないが、江戸歌舞伎についての知見と見識もずば抜けて深く、自らが師表と仰ぐ養父にして実の祖父にあたる初代吉右衛門の業績(上演史や、個々の役々の型)についての知識と研鑽の深さも、当然ながら他の追随を許さなかった。
二〇〇五年九月歌舞伎座の初代五十回忌追善興行を機として、二〇〇六年から九月歌舞伎座での初代吉右衛門顕彰の
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