銭湯放浪記
大和久勝
銭湯放浪記
大和久勝
第5回
少年時代の思い出と淡い恋「東京・板橋」
イラスト 木下綾乃
なぜ銭湯にこだわるのかとよく聞かれるが、「好きなのです」としか答えられないことが多い。小さい頃は、家庭風呂が少なかった時代。銭湯は、好きな方ではなかった。のぼせてしまって気分が悪くなったことが多くあって、行かないですむ日はできるだけ行かないようにしていた。行水ですむものなら行水ですませていたくらいで、お風呂好きな少年ではなかった。そんな私が銭湯を探して歩くようになったのは、家庭風呂中心の生活を10年以上も経験してからのことである。
私は、地方に出かけると、ホテルのフロントで銭湯の場所をたずねることにしている。ホテルのユニットバスでは
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