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『 銭湯放浪記 』

大和久勝

銭湯放浪記

大和久勝

第2回

経営者の心意気「弘前」

イラスト 木下綾乃

相当なペースで、銭湯が消えていっている。東京や大阪ばかりでなく、地方都市でも銭湯は姿を消している。銭湯は、庶民の生活のなかで生きてきたものであり、昔からの日本の文化遺産である。いまでも庶民に愛されている。

式亭三馬の『浮世風呂』には、朝から晩まで賑わいを見せた銭湯の様子が描かれている。広い洗い場で一日の汗を流すくらいの贅沢は、ささやかなものであり、庶民の大きな喜びであったはずである。

明治以降は江戸や大阪だけでなく、全国に広がった銭湯は、日本の文化遺産であることは間違いない。その文化遺産が急速に消えていこうとしているのである。

弘前に行ったときのことである。

駅から弘前城公園に向かう途中にニューキャッスルホテルがあり、その日はそこに泊まることになっていた。ホテルに向かうときにタクシーの運転手さんに、銭湯はないですかと聞いた。ホテルの近くにある「娯楽湯」という銭湯を教えてくれた。「弘前の繁華街のなかでは、ここだけではないかな」と付け加えてくれた。

のっぽビルが林立するなか、存在を誇示するかのように立つ赤レンガのエントツ。タクシーを降りて真っ先にカメラのシャッターを切る。

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