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『 伝統と破壊の哲学 』

増田伸也

伝統と破壊の哲学 Vol.12

「なぜ僕は写真で世界を目指すのか」

増田伸也

HANAFUDA SHOUZOKU#52, 2017, Shinya Masuda

「シオカラトンボ」

トンボは、上空から光が反射する場所を見つけると、そこに水があると信じて産卵すると聞いた。
時には池であったり、時には水溜りであったりする。
そこの水が明日以降もあり続けるかどうかなんて考えていない。
とにかく光が反射する場所に産みつけるのだ。

僕が子供の頃は、雨がしばらく降り続けると舗装されていない道路のいたるところに大きな水溜りができた。
そんな水溜りで一生懸命産卵をしているシオカラトンボを見つけて、
僕は「気の毒に。あいつ馬鹿だな。明日になればこの水溜りも無くなっちゃうのに」と思っていた。
だが、それは未来の自分自身に向けた言葉になっていく。
世界各地のコンペやアートフェスティバルに応募しまくって、自分の作品を世界に産みつけようとしている僕は、あの日のシオカラトンボだ。

自分の作品を海外で発表することになったのは、僕が48歳のときだ。随分と歳がいっているのと、挑戦の舞台に海外を選んだことには多くの知人が驚いた。「惜しいね! あと15年早ければ! その歳でよくやるね! 第二の人生頑張ってください!」と直球を投げる人もいた。

しかし、僕は「人をあっと驚かせること」に全身全霊を捧げていたので、遅いとも何とも思わなかったし、日本人だけでなく文化も歴史も違う異国の人をあっと驚かせてみたくなったのだ。

僕の作品の特徴といえば、奇抜な色づかいと腐敗物の組み合わせによる画面構成である。

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