比呂美の庭
伊藤比呂美
比呂美の庭
伊藤比呂美
詩人の伊藤比呂美さんは22歳で現代詩手帖賞を受賞し、それから場所を変え形を変え、ジャンルに収まることなく書きつづけてきました。現在は20年暮らしたカリフォルニアから戻り、住まいのある熊本と東京を行き来しながら執筆、大学のクラスも受け持っています。
比呂美さんと春陽堂書店の担当編集・かなりによる対話型インタビュー連載、最終回は創作についてお話をうかがいます。創作活動と切り離せない思考へと話は展開し 聞いている私は考えつくしているか? わが身を振り返りながらのインタビューとなりました。
第3回 書くこと、書きつづけること
銭湯みたいなクラス
比呂美さんこんにちは。今日もよろしくお願いします。第1回では〆切との格闘を、第2回では他者への共感をお話いただきました。今回は最終回ということもあり、ここはやはり創作についてお聞きしたいと思いました。
はい、よろしくです。
創作の秘密、どう書くか。書きかたや表現について。大学でも学生からの質問多いですか。
企業秘密ですけど。
え。
はははは、秘密って言えるほどのこともない。特許とかもとってないし。
学生から詩作についてアドバイスを求められたりしませんか。
あまり訊いてこないですね。対面でもオンラインでも、班に分けて、その中で合評という自習をやるのがメインです。それで、ときどきわたしが、「ここ、こうしたほうがいいんじゃない?」みたいなこと言うときもあるんですよ。するとたいてい「それはちがう、自分の意図はそうじゃない」って言われて論破されるので、すごすごすっこんでます。
学生たのもしいですね。ちゃんと意図があってやっている。